is: 2008年1月アーカイブ

ペットの葬式

ペットが家族の一員として扱われる現在、ペット産業は右肩上がりの成長を続けてきました。特に犬に関連する商品の充実ぶりは目を見張るものがあります。服を着せるのは当たり前になっていますし、そんな服の中には私たち人間が着る服よりもはるかに値段の張るものも少なくありません。そんなペットたちの最期を看取るための産業もここ最近成長を極めています。
ペットの生き物ですから、寿命はあります。以前よりは長くなったとは言え、人間より長生きするペットは存在しません。必ずペットを見送ってやらなければならない時が来ます。以前なら家で飼っていた犬が死んでしまったなら庭に穴を掘って埋めて...というのが一般的でした。しかし現在では、そんな昔ながらの葬り方が出来ない諸事情があります。
まず、マンション住まいならペットを埋めるための庭がありません。仮にあったとしても中途半端な穴だと他の野生動物がその穴を掘り返してしまう危険もあります。また、これは筆者も知らなかったのですが、自分の土地ではないところに動物を埋めてはいけないという法律があるそうなので公園や空き地などに穴を掘って埋めるというのも、よほどの田舎でない限りは難しそうです。
そんな諸事情を踏まえて、注目を浴びているのがペットの葬式業者です。ペットの死をきちんと葬ってあげたいという願いもかなえられますし、都会ではなかなかペットの遺体を処分できないのでまさに一石二鳥です。
筆者も自宅で飼っていた猫が亡くなった際にその猫の葬式を営んだことがあります。筆者はマンション暮らしですから当然猫を埋める庭はありませんし、9年間我が家で生きた猫なのでそれなりの葬儀をしてあげたかったという理由もあります。
実際に利用してみた感想は、人間の葬式とほとんど変わらないということです。あくまでもペットの葬式なので「こうでないとならない」という決まりはありませんから、上から下まで色々あるコースの中から選びます。まさに松竹梅で、豪華な葬式プランからリーズナブルなものまで。ほとんどの人はその中間にある竹クラスの葬式を選んでいるようです。
葬式もちゃんと行われますし、納骨も法要もあります。本当に人間の葬り方となんら違いはありません。先日はちょうど亡くなってから1年が経過したので一周忌法要がありました。四十九日法要の人たちと一緒になったのですが、多くの人で溢れていましたから、ペットの葬式は依然として高いニーズがあるということなのでしょう。

葬式をやっても良い日、やってはいけない日

葬式をやっても良い日、やってはいけない日というものがあるのをご存知かと思います。そうです、友引です。友引という言葉を見ると「友」を「引く」という字で構成されていることから、そんな日に葬式をやるということは友、つまり参列者は弔問客を引き連れて行くつもりなのでは...と眉をひそめられるというものです。それとよく似た考え方で大安にも葬式を行ってはならないというものもあります。大安とは大安吉日と言って結婚式を行うのに好まれる日です。そんなおめでたいことが多い日に葬式をするとは、というわけですね。
さて、そもそもこの友引や大安とは何なのでしょうか。現在日本の一週間は7日間、日曜から土曜まで7つの曜日があります。それに対して6日間で一週間が巡るという、中国の六曜という暦があります。この六曜に友引や大安と言った"曜日名"があります。ちなみに現在では中国も7日間で一週間という暦を採用しています。
日本で現在使われている暦では月曜、火曜、水曜...と曜日の名前を呼びます。英語ではMonday、Tuesday、Wednesday...となります。友引や大安というのはこれと全く同じで単なる曜日の呼び方に過ぎません。友引と書いてあるからと言って友を引くという意味があるわけではないのです。つまり、友引に葬式をしても全く問題はないのです。
以上が仏教界の見解で、どこのお坊さんに聞いても同じ答えが返ってくるはずです。友引に葬式がタブー視されるのは単なる俗信だというわけです。それならば仮に故人が亡くなった日から計算してちょうど葬式の日が友引だったということになっても問題はない...と簡単にいかないところが冠婚葬祭の難しいところです。
仏教界の見解がどうであれ、それを知っている人と知らない人が居ます。友引に葬式をしたとして、それを「確かに友引に葬式を行って悪いことはない」と解釈する人と、「友引に葬式をするなんて非常識な家だ」と解釈する人、それぞれが居るのです。そのため、友引に葬式をしてはいけないのは俗信と知っていても無難に友引を避ける人が多いのが実情です。それがいつしか慣習となり、現在では友引が斎場や葬儀業者の休日になっているところも少なくありません。俗説と言えどもここまで慣習を動かす力があるんですね。逆に考えると慣習や風習というものはこうして自然発生的に作られて行くものかも知れませんが。
ちなみに、お通夜は友引に行ってはならないという俗説もないので、どの曜日に行っても問題はありません。

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